特殊健康診断
労働安全衛生法 第66条第2項・第3項
特殊健康診断
特殊健康診断とは、じん肺法第3条、労働安全衛生法第66条第2項、第3項に定められた健康診断をいいます。有害な作業環境で働く労働者を対象として実施する健康診断です。
関係法令: じん肺法 第3条,第7条~第9条の2
じん肺法施行規則に定められた23種類の粉じん作業(粉じん障害防止規則 附則の別表に掲げる作業)のいずれかに常時従事し、または従事したことのある労働者に対しては、1.就業時 2.定期 3.定期外 4.離職時に、次の項目のじん肺健康診断を行わなければなりません。 じん肺健康診断の結果、管理区分が管理2または管理3となった労働者(じん肺有所見者)には「肺がんに関する検査」を行うことになっております。 じん肺健康診断の実施に関する詳細については、『じん肺診査ハンドブック』(厚生労働省労働衛生課編、中央労働災害防止協会発行)などを参照してください。
料金
対象者 | 健診の頻度 | 基本料金 |
---|
じん肺法施行規則に定められた粉じん作業のいづれかに常時従事する労働者 | 管理1:3年以内毎1回 管理2:1年以内毎1回 管理3:1年以内毎1回 就業時及び離職時など | 3,630円 |
じん肺法施行規則に定められた粉じん作業に以前従事した事があり、現在は従事していない労働者 | 管理2:3年以内毎1回 管理3:1年以内毎1回 | 3,630円 |
関係法令:有機溶剤中毒予防規則 第29条
法令で定められた有機溶剤業務(有機溶剤中毒予防規則第1条第6項)に従事する労働者に対しては、雇入れ時、当該業務への配置替え時およびその後6ヶ月以内ごとに1回定期に、次の項目の健康診断を実施しなければなりません。
検査項目
【必ず実施すべき項目】
①業務の経歴の調査
②有機溶剤による健康障害の既往歴の調査
・有機溶剤による健康障害の自覚症状および他覚症状の既往歴の調査
・有機則で指定されている尿中代謝物の既往の検査結果の調査
・尿中の蛋白の有無についての既往の異常所見の有無の調査
・有機則で指定されている貧血検査・腎機能検査・眼底検査についての既往の異常所見の有無の調査
③有機溶剤による自覚症状または他覚症状として通常認められる症状の有無の調査
④尿中の蛋白の有無の検査
【特定の有機溶剤において必ず実施すべき項目】
⑤尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査
⑥肝機能検査(AST(GOT)・ALT(GPT)・ɤ-GTP)
⑦貧血検査(血色素量・赤血球数)
⑧眼底検査
【医師が必要と判断した場合に実施しなければならない項目】
⑨作業条件の調査
⑩貧血検査
⑫腎機能検査(尿中の蛋白の有無の検査を除く)
⑬神経学的検査
料金
有機溶剤指定検査項目について
No | 有機溶剤等 ( )は別名 | 検査項⽬ |
---|
1 | エチレングリコールモノエチルエーテル (セロソルブ) | 貧⾎検査 (⾎⾊素および⾚⾎球数) |
---|
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート (セロソルブアセテート) |
エチレングリコールモノ-ノルマル-ブチルエーテル (ブチルセロソルブ) |
エチレングリコールモノメチルエーテル (メチルセロソルブ) |
2 | オルト-ジクロルベンゼン
| 肝機能検査 (⾎清AST、ALT、γ-GTP) |
---|
クレゾール |
クロルベンゼン |
1,2-ジクロルエチレン(⼆塩化アセチレン) |
3 | キシレン | 尿中のメチル⾺尿酸の量の検査 |
---|
4 | N,N-ジメチルホルムアミド | 1 肝機能検査 2 尿中のN-メチルホルムアミドの量の検査 |
---|
5 | 1,1,1-トリクロルエタン | 尿中のトリクロル酢酸または 総三塩化物の量の検査 |
---|
6 | トルエン | 尿中の⾺尿酸の量の検査 |
---|
7 | ⼆硫化炭素 | 眼底検査 |
---|
8 | ノルマルヘキサン | 尿中の2,5-ヘキサンジオンの量の検査 |
---|
有機溶剤健康診断について
有機溶剤(安衛令別表第6の2および有機則第1条第1項)
区分 | 有機溶剤 ( )は別名 |
---|
第⼀種有機溶剤(2種) | 28 1,2-ジクロルエチレン (⼆塩化アセチレン) |
---|
38 ⼆硫化炭素 |
第⼆種有機溶剤(35種) | 1 アセトン |
---|
2 イソブチルアルコール |
3 イソプロピルアルコール |
4 イソペンチルアルコール (イソアミルアルコール) |
5 エチルエーテル |
6 エチレングリコールモノエチルエーテル (セロソルブ) |
7 エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート (セロソルブアセテート) |
8 エチレングリコールモノ-ノルマル-ブチルエーテル (ブチルセロソルブ) |
9 エチレングリコールモノメチルエーテル (メチルセロソルブ) |
10 オルト-ジクロルベンゼン |
11 キシレン |
12 クレゾール |
13 クロルベンゼン |
15 酢酸イソブチル |
16 酢酸イソプロピル |
17 酢酸イソペンチル (酢酸イソアミル) |
18 酢酸エチル |
19 酢酸ノルマル-ブチル |
20 酢酸ノルマル-プロピル |
21 酢酸ノルマル-ペンチル (酢酸ノルマル-アミル) |
22 酢酸メチル |
24 シクロヘキサノール |
25 シクロヘキサノン |
30 N,N-ジメチルホルムアミド |
34 テトラヒドロフラン |
35 1,1,1-トリクロルエタン |
37 トルエン |
39 ノルマルヘキサン |
40 1-ブタノール |
41 2-ブタノール |
42 メタノール |
44 メチルエチルケトン |
45 メチルシクロヘキサノール |
46 メチルシクロヘキサノン |
47 メチル-ノルマル-ブチルケトン |
第三種有機溶剤(7種) | 48 ガソリン |
---|
49 コールタールナフサ |
50 ⽯油エーテル |
51 ⽯油ナフサ |
52 ⽯油ベンジン |
53 テンビン油 |
54 ミネラルスピリット |
「有機溶剤等」に該当する物質 | 55 前各号に掲げる物のみから成る混合物 (有機溶剤を当該混合物の5%を超えて含有するもの) |
---|
関係法令:特定化学物質予防規則 第39条
特定化学物質を取扱う労働者に対しては、雇入れ時、当該業務への配置替え時および6ヶ月以内ごと(ベリリウム及びニッケルカルボニルを取扱う労働者に対する胸部エックス線直接撮影による検査は1年以内ごと)に1回定期に実施しなければなりません。また、特定化学物質を取扱う業務(労働安全衛生法施行令第22条第2項の業務に限る)に常時従事したことのある労働者で、現在雇用している者に対しても6ヶ月以内ごとに同様の健康診断を実施しなければなりません。
料金
対象者 | 健診の頻度 | 基本料金 |
---|
法令で定められた特定化学物質業務に常時従事する労働者
法令で定められた特定化学物質業務に過去に常時従事していた労働者で、現在は従事していない労働者 【特定化学物質健康診断】 | 雇入れの際 配置替えの際 定期は6ヵ月以内毎1回 | 物質により異なる |
関係法令:鉛中毒予防規則 第53条
法令で定められた鉛業務(鉛中毒予防規則第1条第5項、労働安全衛生法施行令別表4)に従事する労働者に対しては、雇入れ時、当該業務への配置替え時およびその後6ヶ月以内ごとに1回定期に、次の項目の健康診断を実施しなければなりません。
検査項目
- 業務の経歴の調査
- 鉛による自覚症状および他覚症状の既往歴の調査
既往の血液中の鉛の量および尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査に対する調査
- 鉛による自覚症状または他覚症状と、通常認められる症状の有無の検査
- 血液中の鉛の量の検査
- 尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査
料金
対象者 | 健診の頻度 | 基本料金 |
---|
法令で定められた鉛業務に常時従事する労働者 | 雇入れの際 配置替えの際 定期は6ヵ月以内毎1回 | 8,250円 |
関係法令:石綿障害予防規則 第40条
石綿作業従事者に対する健康診断を義務づける石綿障害予防規則が制定され、
①石綿等の取扱いまたは試験研究のための製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者
②石綿等の製造または取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に常時従事したことのある労働者で、在籍者
が健康診断の対象となります。健康診断は、雇入れ時、当該業務への配置換え時、および定期(6ヶ月以内ごとに1回)に行います。 石綿はじん肺健康診断の対象であるとともに特定化学物質として扱われていたために、特定化学物質障害予防規則に準じて、6ヶ月ごとの健康診断になっています。
検査項目
- 業務歴の調査
- 石綿による咳・痰・息切れ・胸痛など、他覚症状・自覚症状の既往歴有無の検査
- 咳・痰・息切れ・胸痛等の他覚症状・自覚症状の有無
- 胸部エックス線検査
料金
対象者 | 健診の頻度 | 基本料金 |
---|
石綿等の取扱いもしくは試験研究のための製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者
石綿等の製造もしくは取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に常時従事したことのある労働者 | 雇入れの際 配置替えの際 定期は6ヵ月以内毎1回 | 3,960円 |
関係法令:高気圧作業安全衛生規則第38条
検査項目
- 既往歴及び高気圧業務歴の調査
- 関節、腰もしくは下肢の痛み、耳鳴りなどの自覚症状または他覚症状の有無の検査
- 四肢の運動機能の検査
- 鼓膜及び聴力の検査
- 血圧の測定ならびに尿中の糖および蛋白の有無の検査
- 肺活量の測定
料金
対象者 | 健診の頻度 | 基本料金 |
---|
法令で定められた高気圧業務に常時従事する労働者 | 雇入れの際
配置替えの際 定期は6ヵ月以内毎1回 | 3,960円 |
関係法令:電離放射線障害防止規則 第56条
放射線業務に従事し管理区域に立ち入る労働者に対しては、雇入れ時または当該業務への配置替え時およびその後6ヶ月以内ごとに1回定期に、次の項目の健康診断を実施しなければなりません。
検査項目
- 被ばく歴の有無の調査と評価
- 白血球数・白血球百分率の検査
- 赤血球数の検査および血色素量またはヘマトクリット値の検査
- 白内障に関する眼検査
- 皮膚の検査
料金
対象者 | 健診の頻度 | 基本料金 |
---|
エックス線、その他の電離放射線に係わる業務に常時従事し、管理区域に立ち入る労働者 | 雇入れの際 配置替えの際 定期は6ヵ月以内毎1回 | 4,246円 |
行政指導による健康診断の対象業務
指導勧奨による健康診断とは、労働安全衛生法により定められた健康診断以外に、特定の業務に就く場合に行政からの通達により指導勧奨されている健康診断をいいます。
行政指導による健康診断の内容
- 紫外線・赤外線にさらされる業務
- [強烈な]騒音を発する場所における業務(騒音作業健康診断)
- マンガン化合物(塩基性酸化マンガンに限る)を取扱う業務、またはそのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
- 黄りんを取扱う業務、またはりんの化合物のガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
- 有機りん剤を取扱う業務、またはそのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
- 亜硫酸ガスを発散する場所における業務
- 二酸化炭素を取扱う業務、またはそのガスを発散する場所における業務(有機溶剤業務に係るものを除く)
- ベンゼンのニトロアミド化合物を取扱う業務、またはそれらのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
- 脂肪族の塩化または臭化化合物(有機溶剤として法規に規定されているものを除く)を取扱う業務、またはそれらのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
- 砒素またはその化合物(アルシンおよび砒化カリウムに限る)を取扱う業務、またはそれらのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
- フェニル水銀化合物を取扱う業務、またはそれらのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
- アルキル水銀化合物(アルキル基がメチル基またはエチル基であるものを除く)を取扱う業務、またはそれらのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
- クロルナフタリンを取扱う業務、またはそれらのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
- 沃素を取扱う業務、またはそれらのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
- 米杉、ネズコ、リョウブまたはラワンの粉じんなどを発散する場所における業務
- 超音波溶着剤を取扱う業務
- メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)を取扱う業務、またはそれらのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
- フェザーミルなど飼肥料製造工程における業務
- クロルプロマジンなどフェノチアジン系薬剤を取扱う業務
- キーパンチャーの業務(上肢作業健康診断)
- 都市ガス配管工事業務(一酸化炭素)
- 地下駐車場における業務(排気ガス)
- チェーンソー使用による身体に著しい振動を与える業務(振動業務健康診断)
- チェーンソー以外の振動工具(さく岩機、スインググライダー等)の取扱いの業務(振動業務健康診断)
- 重量物取扱い業務など(腰痛健康診断)
- 金銭登録の業務(上肢作業健康診断)
- 引金付工具を取扱う業務(上肢作業健康診断)
- 肢体不自由児施設、特別養護老人ホームなど重症心身障害児者の入所施設における介護業務(腰痛健康診断)
- 情報機器作業(情報機器作業健康診断)
- 学校給食の業務
- レーザー機器を取扱う業務またはレーザー光線にさらされるおそれのある業務
- 石綿などの製造、取扱い業務(当該業務に従事したことのある退職者、ただし健康管理手帳保持者を除く)
- 半導体製造工程における業務
【情報機器作業】
検査項目
①業務歴および既往歴の調査
②眼科学的検査
・5m視力検査
・近見視力の検査(50㎝または30㎝視力)
・屈折検査(5m視力検査および近見視力に異常がない場合は省略可)
・眼位検査
・調節機能検査(5m視力検査および近見視力に異常がない場合は省略可)
③筋骨格系に関する検査
・上肢の運動機能、圧痛点などの検査(問診で異常が認められない場合は省略可)
・その他医師が必要と認める検査
対象者 | 健診の頻度 | 基本料金 |
---|
情報機器作業に常時従事する労働者 | 雇入れの際、配置前 | 5,060円 |
| 定期 40歳未満 | 2,530円 |
| 定期 40歳以上 | 3,960円 |
【騒音作業】
検査項目
【一次検査】
①既往歴の調査
②業務歴の調査
③自覚症状および他覚症状の有無の検査
④オージオメーターによる1000Hzおよび4000Hzにおける選別聴力検査
(1000Hz30dB、4000Hz25dBおよび30dBの音圧での検査)
⑤その他医師が必要と認めた検査
【二次検査】(※上記の④⑤で異常が認めれられる場合)
①オージオメーターによる250、500、1000、2000、4000、6000Hzおよび8000Hzにおける聴力の検査
【離職時健康診断】
定期健康診断と同じ
対象者 | 健診の頻度 | 基本料金 |
---|
「騒音障害防止のためのガイドライン」別表に掲げる作業に常時従事する労働者 | 雇入れの際 配置替えの際 定期は6ヵ月以内毎1回 離職時等 | 気導純音1000,4000Hz 1,320円
気導純音500~8000Hz 2,420円 |
【振動業務】
検査項目
①職歴調査:経験年数、使用工具の種類、作業状況など
②自覚症状調査:既往歴、現病歴などの問診
③視診・触診(爪、指、皮膚、骨、関節、上肢の運動機能および運動痛、腱反射、筋萎縮、筋・神経そうの圧痛、触覚の異常などの有無)
④運動機能検査
・握力(最大握力、瞬発握力)
・維持握力(5回法)
⑤血圧、最高血圧および最低血圧
⑥末梢循環機能検査(常温下における手指の皮膚温、爪圧迫テスト)
※室温20℃~23℃位の室で30分以上安静にさせた後行うこと
⑦末梢神経機能検査(常温下における手指等の痛覚および振動覚)
対象者 | 健診の頻度 | 基本料金 |
---|
通達で定められた振動業務に従事する労働者 | 雇入の際 配置替えの際 定期は6ヵ月以内あるいは1年以内毎に1回 | 8,690円 |
【紫赤外線】
対象者 | 基本料金 |
---|
紫外線・赤外線にさらされる業務に従事する労働者 | 2,860円 |
※二次検査料金については別途申し受けます。
閲覧回数: 25,986